●第9回TPPと共済 国公共済会事務理事 松渕秀美

TPPの危険性を自分の言葉で伝えよう


特定秘密保護法案は国民の大多数が不安視

 10月15日に開会した第185回臨時国会は、国民のいのちと暮らしにかかわる社会保障制度、とりわけ医療・介護・年金などの改悪の工程表である「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」、生活保護法の改悪法案も提出されています。さらに、安倍自・公政権は、国民の知る権利を奪う「秘密保護法案」や安全保障会議設置法案を10月25日に国会に提出し、今国会での成立を目指しています。
「秘密保護法案」については、日弁連をはじめ各地の弁護士会、日本ペンクラブ、民放労連、新聞労連などマスコミ関係者からこぞって反対声明が出されています。また、地方紙はもちろん全国紙、さらには米国のニューヨークタイムズ紙の社説でも国民の知る権利の侵害にあたるという意見が掲載されるほどです。共同通信の世論調査(10月27日)によると、政府の特定秘密保護法案に反対が50・6%と半数を超え、賛成は35・9%でした。慎重審議を求める意見は82・7%を占めています。国の内外から批判のある法案は、多くの国民の世論で阻止しましょう。

日本市場はすでに充分に解放されている

 さて、本稿の主題であるTPP交渉は、「米国の財政の崖」問題でオバマ大統領が米国内に足止めされたことから年内合意が遠のいたかのような印象がありますが、分野別の会合は着々と進行しており、年内妥結の目標に向かって事務レベルでの話し合いが進められています。日本テレビがおこなったTPPに関する世論調査(10月20日)によると、TPP交渉の年内成立に期待する41・8%、期待しない41・8%と同数になっています。国内の多国籍企業(超国家企業)は、TPP参加のアジア諸国から利益をあげる最大の好機ですから、一部の学者、識者、マスコミ等を巻き込んで推進キャンペーンをおこなっています。その効果(影響)もあって、多くの国民が惑わされているのではないでしょうか。一方、毎月第一火曜日のTPP反対官邸前集会やシンポジウム、学習会等が全国各地で開催され反TPPの取り組みも広がりを見せてきています。NHKの世論調査(9月10日)では、TPPが日本の経済に「良い影響を与える」と答えた人は23%、悪い影響を与える」と答えた人は15%、「どちらともいえない」は53%でした。この結果は、過去の数字(朝日新聞3月17日、TPP賛成53%)に比べ、TPPに懐疑的な人たちが増えているようです。それでも、まだまだTPPの危険性が国民のなかに浸透しきっていません。
 政府やマスコミは、TPP参加が自由貿易に賛成することであり、反対が自由貿易反対であるかのように宣伝しますが、日本が充分に解放された市場になっていることは、毎日生活するなかで実感できているのではないでしょうか。

私たちにできる反対運動は

 TPP交渉は労働・電気通信・通関・環境・金融など24の部会で構成されており国民生活のすべてに影響が及びます。米国の超国家企業群と米国政府の要望は、インターネットから情報が手に入ります。日本の10年後が分かると言われた「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」は米国の日本大使館のHPで見ることができますし、在日米国商工会議所が日本政府に宛てた意見書も閲覧することができます。これらの文書の内容がTPP交渉(個別交渉)で議論されていることは間違いありません。自分が担っている公務がTPPによりどのような影響を受けるのか、そして利用者である国民にどのようなしわ寄せが生じるのか、このことを事前に検証し、周りの人たちに知らせていくことが、今、私たちに必要な反対運動ではないでしょうか。友人、知人に自分の言葉でTPPの危険性を知らせ、TPP反対の世論を大きくしましょう。
 幸い、参議院選挙で反TPPを訴える議員も一定数誕生しましたし、JAや医師会も反対を表明して運動をしています。また、全国318人の弁護士がTPPに反対する弁護士ネットワークを発足させ、安倍首相に申し入れを行っています。毎週金曜日の脱原発の国会前行動や反貧困ネットワークの取り組みなど、いのちと暮らしに直結する問題で国民的な反対運動も盛り上がっています。口コミとともに、ウォール街ではじまったオキュパイ運動のように、事実を伝え99%の人たちの意識改革を促すためフェイスブックやツイッター、ユーチューブ等を活用して世論に訴えかけてTPPを押し返そうではありませんか。TPPは条約の一つですから、TPP交渉がまとまっても国会での承認が必要になります。国会議員に働きかけて、国会承認に持ち込ませない取り組みも求められます。

加入者を増やして国公共済会に力を

 あわせて、国公共済会を守り発展させるために、加入者を増やして外部からの干渉を許さない取り組みも必要です。現在、国公共済会の加入者は3万人弱で、組合員対比の加入率は48%です。8月に開催された第59回定期大会で、今後3年で6割率にするために取り組むことを確認しました。6割加入が実現すれば、組合加入イコール国公共済会加入の状況を作り出すことになります。東日本大震災では、3億5千万円の見舞金を被災された加入者にお渡しすることができました。国公共済会の火災共済に入っているだけで被災地への支援になっています。未加入の方は、この機会に国公労連の助け合いの輪に加入をお願いします。すでに加入している方は、周りの未加入の組合員に声をかけていただくことをお願いしてこの連載を終了いたします。